題名「あなたへ」
作者「河崎愛美」
15歳の作者。わたしとあなたと言うだけで名前がついてない主人公達。小説に出てくる人には固有名詞がない。わたし、あなた、あなたの友達、あなたのお父さん、あなたのお母さん。めずらしい小説。わたしがあなた(すでに亡くなっている)に書く最後の手紙の形式で話がすすむ。電話でもメールでもなくひたすら手紙を書き続けるわたし。たまに本当にたまにしか返事を書かないあなた。会う時は偶然にしか会えない二人。手紙で一方的に会う約束をするがあなたは来ない。偶然の雨宿りでの出会い、友達といたら偶然にあなたみつけた等、本当に会えるのは偶然ばかり。摩訶不思議な展開。彼の写した写真が効果的に使われ仲を深めていく。そしてまた手紙で一方的に会うことを約束する私。その日あなたは交通事故で亡くなる。会う約束の時間に。こんな小説もあるんだ、そんな感じ。少々無理がある小説ですがそれを計算して書かれているから凄いのかも。そして最後「愛しています」で締めくくられている。この恋愛小説?で「愛しています」の言葉はこの一回だけ。作者に脱帽です。
- 2007/05/25(金) 06:20:39|
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